2011年3月11日に起きた東日本大震災後、乾久子はこれまでの表現とは異なる、3月12日からの新聞一面を塗りつぶすドローイングを毎日制作した。それから10年目の2021年3月11日を迎えるにあたって乾が選んだのは、10年前を作品で振り返るだけではなく、今の福島を歩いてみること。本展は、2021年3月11日からはじまった乾の福島での旅を基軸に構成する。電車、バスなどの公共交通機関による目的地を持たない旅は、乾にたくさんの出会いをもたらした。思いがけない風景、すれ違った人がふと漏らした言葉。スケッチブックとペンを手にした作家の旅は、それらを自分のなかに受け止め作品として産み直す行為だった。作品を通して浮かび上がる、乾が感じた10年目の福島。そこに重なったコロナの影も感じる作家の心の軌跡を、どのように感じられるだろうか。
◎会 期:2021年10月12日(火)〜12月20日(月)10:00〜17:00
◎休廊日:毎週土曜日・日曜日・祝日
※11月6日(土)、12月19日(日)は開廊
※都合により休廊となる場合がございます。あらかじめご了承ください。
◎観覧料:無料
◎会 場:ギャラリー・オフグリッド 福島市荒町4-7 県庁南再エネビル3F
※お車でお越しの方は近隣の駐車場をご利用ください。
◎主 催:飯舘電力株式会社
◎お問い合わせ:飯舘電力株式会社 TEL:024-572-6006 E-mail:info@iipower.jp
乾 久子(Inui Hisako)
美術家 1958年 静岡県生まれ 東京学芸大大学院修士課程修了。イメージからイメージへと広げていくドローイングを制作の基本とする。国内外での個展グループ展多数。2008年にくじびきドローイングワークショップを発案。言葉と絵のリレーで、美術と社会をやわらかくつないでいる。
◎公式ホームページ
*乾久子の仕事:http://hisakoinui.com
*くじびきドローイングのすべて:http://kujidoro.net
10年前の2011年、大震災が起こった後、私は自分の表現について途方に暮れ、何をすればいいのかわからなくなっていました。それなのに個展が近づいていました。結局私は3月12日からの新聞の一面を毎日塗りつぶすドローイングをしてその一ヶ月分を発表しました。10年が経ち、新聞を塗りつぶしたあのドローイングにどんな意味があったのか、福島の地で確かめたい思いが芽生え、10年前と同様の形で再展示できたらと思いました。その計画をふくらめていく中で、私は、この10年の間に出会った福島の方たちにアドバイスをいただきました。10年前を作品で振り返るだけではなく、今の福島を歩いてみたらどうですかと。かくして私は2021年3月11日を皮切りに、浜松から福島への旅を始めました。「女寅さん、10年目を歩く」の旅です。常磐線、東北本線、磐越西線、磐越東線、只見線、会津鉄道、列車に乗り、路線バスに乗り、タクシーに乗り、での移動。スケッチブックとカメラを携えて、見たり、聞いたり、話したり、食べたり、しました。この展覧会ではその旅の記録とドローイング、10年前の新聞作品、そして10年目の今年に浜松のアトリエで制作した作品を展示します。10年間と10年目、ふたつのことを旅が教えてくれたのかもしれません。おりしものコロナ禍。先の見えない不安や閉塞が日本中を覆っている中での旅でした。そのないまぜの10年目であったことも歩く私には大きなことでした。 乾 久子
GOG×北方風土倶楽部YouTubeライブトークイベントを予定しています。
詳細は決まり次第お伝えします。
展示構成(予定)
❶『毎日祈ったこと考えたこと』 2011
・2011年3月11日から一ヶ月間の新聞を鉛筆で黒く塗りつぶしたドローイング
❷『10年目を歩く』の記録 2021年3月11日〜
・旅で生まれたドローイング・テキスト
・旅のスナップ写真/ボイスメモ
・コロナ緊急事態宣言により旅に出られなくなって出したハガキ
❸ドローイング 2021年3月11日〜
・旅から戻って制作したドローイング/刺繍ドローイング
drawing〜海をおもう 福島2021〜/ケント紙に色鉛筆
毎日祈ったこと考えたこと/2011/新聞紙に鉛筆/ギャラリイK(2011)
風をつかまえに #2 / 2021 / オーガンジーに刺繍
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